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ここはゴハン王国。
今日もかなり平和だ。
珍しいことに、王である悟空が帰ってきていた。
と、言うより強制送還だ。
チチが
『うちの悟飯ちゃんは毎日一生懸命働いているだ!!たまには体を休めてやらないと・・・
世は夏休みなんだから、悟飯ちゃんにも夏休みをあげなきゃならねえ!!』
といいながら、悟空の首に縄をつけて連れ帰ったのだ。
最初、悟空は渋々だったが、色の白い悟飯を見て、
『こんなんじゃ、白い子ブタだ!!(笑)海いって焼いて来い!!』
(ちょっとひどい・・・)

王子は首都から少し離れた、綺麗な浜辺のある小さな村へ出かけることにした。
ある程度辺境ならば、王子の顔も知られていないので安心だ。
しかし、もしもの時のためにお付きが必要だった。
もちろん白羽の矢はピッコロに当たった。
執事なので、本当なら悟空について国政を守らなければならない立場だが、
はっきりいって、ピッコロは悟空に使えているというより、王子である悟飯に使えているといっても
過言ではないので、みんな承知して快く見送ってくれた。

目的地の村へは車で4時間かかった。
ちなみに悟飯は王子だということがばれないように、庶民的な格好をしていた。
途中で食料品やら生活に必要なものを買い込むために、大きなショッピングモールに立ち寄った。
悟飯は普段したことのないショッピングにわくわくだった。
『うわあ〜!!たくさんものがある!!!』
『悟飯・・・・・・、あまりはしゃぐな・・・、まだこの辺だと正体がバレる。』(悟飯に敬語禁止と念を押された)
悟飯はピッコロの方を振り向くと、上目遣いでピッコロを見つめて、
『だって・・・、ピッコロさんとお買い物なんて・・・うれしくって・・・』
そう言うと、向こうには何があるんだろう?と、目をキラキラさせていってしまう。
(か・・・・・可愛すぎる・・・)
普段見慣れていない庶民の格好の悟飯にも、かなりきていたピッコロだったが、あんな表情をされてしまうと・・・
(はしゃぐ悟飯・・・いい!!)
すっかりオヤジ入ってます。
『おい!!待てっ!!』
はっと、我に返り悟飯を追う。

ようやく一通りの買い物を済ませた後、ショッピングカートを押しながら店内を駐車場に向かって歩いていたとき、
悟飯は小さな雑貨屋の前で足を止めた。
『この帽子・・・可愛いなあ・・・』
手にとったのは麦藁帽子、王室育ちの悟飯は初めて見るものだった。
『ほしいのか?』
その一言を聞くと、アイフルの音楽が流れてきて(心の中で)悟飯の目がチワワのようにウルウル・・・
『わかったから・・・そんな目で見つめるな・・・』
真っ赤になって目を反らすピッコロ。
店主に値段を聞き、支払い時に値札をとってもらった。
『ありがとうございます!!』
悟飯は満遍の笑みを浮かべて、さっそくかぶり、店の前の鏡に自分を写し、嬉しそうに見ていた。
『可愛いですなぁ、お子さんですか?』
店主はつられて笑顔になりながらピッコロに言った。
『な・・・!!違っ・・・!!』
ピッコロもその笑顔に骨抜きにされていたが、その言葉で我に返った。
『あれは我が、お・・・・・・』
思わず『王子』といいそうになったが、0.2秒後に気づいて止め、
次に浮かんだのは、・・・お・・・くさん?それも却下されて、0.4秒後に
『・・・弟だ・・・』
無理がある・・・
店主はちょっと、ぎょっ としたが、深くは追求してこなかった。

車に荷物を積んで、あと1時間、車に揺られて目的地に向かった。

この村には王室の秘密の別荘があった。
村の隅にあり、しかも普段は誰も出入りしないので、誰も気にとめない屋敷だ。
その裏には浜辺があり、そこは屋敷からではないと出入りができず、
しかも入り江にあるので、外海からも遮断された場所だった。
別荘のドアを開けるとかなりのホコリが降り積もっていた。
『まずは掃除をせんとな・・・』
着いたのは昼さがりだったが、どうやら落ち着けるまでにはまだかかりそうだ。

ピッコロは全ての家具を外に出し、床や壁を一気に拭き、
台所では悟飯が全ての食器類を洗い、買い込んだ食糧を冷蔵庫につめていった。
テキパキと仕事をして、夕方にはなんとか暮らせるようになった。
二人は慣れないことをしたせいか、かなり疲れ果てていたので、
夕食をとり終えると、風呂に入ってさっさと寝てしまった。

次の日、ピッコロは目覚めると横に悟飯がいないことに気づいた。(一緒のベッドに寝てた・・・)
少し焦ったが、下(1階、寝室は2階)で物音がしたので、安心した。
急いで顔を洗い着替えを済ませ、下に降りた。
居間に姿はなかった、台所にも・・・1階をウロウロしていると、小さな鼻歌が庭から聞こえてくる。
『庭か・・・』
ちょっと胸をなでおろして、ピッコロは庭に向かった。
庭では悟飯が洗濯物を干していた。
ちょっと大き目のエプロンを無理やり着て・・・
それを微笑みながら見るピッコロ。
『そんなことは俺が・・・・』
近づきながら悟飯に話し掛ける。
丁度手にもっていたのは、大きなパンツ・・・
『あっvv、おはようございますvv、ピッコロさん。』
悟飯はニッコリと笑って、パンツを胸に抱く。
『そんなことは俺がやるから!!!』
悟飯の手の中からパンツが消える。
『?』
悟飯は首をかしげながら不思議そうにピッコロを見つめた。

それからピッコロは悟飯のために朝食を作った。
悟飯は美味しそうにそれを平らげると、さっそく海に行きたいと言い出す。
『お弁当、持ってね。浜辺で食べたいです!!』
またあの目でおねだりだ。
『わかった、わかった・・・』

弁当作りは悟飯も手伝った。
はしゃぎながら、時々つまみ食いをして、ピッコロに怒られる。
絵に描いたような新婚さんだった。

弁当を持って、浮き輪も持って、あの麦藁帽子をかぶって、いざ出発。
ニコニコ本当に嬉しそうに歩く悟飯。
肌に光が当たって、白く輝いていた。麦藁帽子はよく似合っていた。
浜辺に着くと悟飯は裸足になり、波打ち際に走っていった。
ピッコロはその姿を微笑ましく眺めながら、岩場の木陰にパラソルやシートを敷いたりした。
その時、急に風が吹いて、悟飯の頭から麦藁帽子をさらっていった。
『あ!!』
悟飯はつかもうとしたが風に翻弄された帽子は、随分遠くの波間まで飛ばされてしまった。
悟飯は急いでピッコロの元に駆け寄ると、ピッコロに帽子のありかを指で指しながら、
『帽子が・・・っ!!ピッコロさぁん!!帽子!!』
『せっかくピッコロさんに買ってもらったのにっ!!』
今にも泣きそうだった。
『わかった、取ってきてやろう・・・』
ピッコロはおもむろにTシャツを脱いだ。
『・・・っ!!』
悟飯はちょっと赤くなった。
(普段、見慣れてる(←笑)はずなのに・・・)
ピッコロはざぶざぶと海に入り、帽子を取ってくる。
『ごめんなさい・・・ピッコロさん、ずぶ濡れです・・・』
ズボンからボタボタと海水が落ちる。
『ああ・・・、こんなのは魔法で出せばいい。』
ピッコロが指をパチンと鳴らすと、ズボンが水着に変わっていた。
『わぁ!!いいなぁ!!』
悟飯は目を輝かせた。
『ボクも水着がいいです!!』
『そうか?』
ピッコロは悟飯の頭の上で指をはじいた。
パッ と、悟飯の服が消えて、水着が・・・・
って・・・・・・
『・・・・・!!!!!!』
出てきた水着はビキニ・・・しかもヒモ・・・・・・
『うわあっ!!!すすすすす・・・すまん!!!』
ピッコロは慌てて後ろを向く。
(何考えてるんだ、俺は!!昨日からずっと悟飯が可愛いかったからって・・・)
心がよく反映されてしまう魔法らしい・・・
悟飯はちょっと恥ずかしそうにしていたが、慌てるピッコロに擦り寄る。
『っ!!』
肌が触れた時、ピッコロはビクッとした。
『・・・・・・ピッコロさん・・・・こんな意地悪・・・しないで・・・』
『すまん!!本当に・・・、俺の心がお前でいっぱいで・・・って。・・・違っ・・・・俺が変態なんです。』
思わず敬語になる。
『そっ・・・そういう意味じゃありません・・・ボク・・・
昨日から今まで見たことのないピッコロさんの姿、いっぱい見てきて・・・』
赤くなって目を伏せながら
『さっきも・・・ピッコロさんのシャツ脱ぐ姿に、ちょっと変な気持ちになっちゃいました・・・』
『・・・・・悟飯・・・』
振り返ると、小さくなって赤くなっている悟飯がいた。
たまらずに抱きしめてしまう。
抱きしめると、悟飯の心臓の鼓動が早くなっているのがわかった。
ピッコロは自分を抑えることに限界を感じた。
『悟飯・・・・・・今、ここでお前を抱きたい・・・』
(・・・コクン)
悟飯は小さくうなずいた。

悟飯を抱き上げると、先ほど敷いたシートの上に悟飯を横たわせる。
優しくキスをし、水着に手をかける。
悟飯の体が少し緊張する。
(もし誰かがきたら・・・どうしよう・・・)
しかし悟飯も自分の感情を抑えられなかった。
腰のヒモを引っ張ると、スルリと簡単に解ける。
『こんなに簡単に取れてしまうんだな・・・』
ちょっと驚くピッコロ、
『・・・・やっ・・・・』
水着を取る行為で、かなり興奮のご様子なピッコロを見て、悟飯は恥ずかしくなった。
足を内股に閉じて少し抵抗する。
しかし、ピッコロがももをなでて優しく開くように促すと、素直にそれに従う。
悟飯はすばらく目をぎゅっとつぶって、恥ずかしさに耐えた。
水着を取り終えると、再び優しくキスをする。
深く、長く悟飯の唇を弄ぶ。
悟飯はその行為に体をピクンと反応させて答える。
キスに酔いしれながらも、ピッコロの水着を脱がしてやろうとする。
しかし、既に大きくなったものに引っかかって、うまく脱がすことができない。
するとピッコロはキスをやめて、悟飯を見つめてニヤリと笑う。
『こんなことは・・・俺がやる。』
『・・・っ・・』
悟飯は恥ずかしそうに目を反らす。
(かっ・・・かっこいいです!!ピッコロさん!!)
胸がキュンとなる。(なぜに・・・)
そのいじらしい姿にピッコロはもう抑えられない。
そして強く悟飯を抱きしめた。
『悟飯・・・いくぞ・・・』
ピッコロが悟飯の中に入ってくる。
悟飯の体がのけぞる。
『・・・・・あっ!!!・・・・・・ピッコロ・・・さぁ・・・んっ!!!!』

太陽が一番上に上がって、昼になった。
二人はまだ愛し合っていた。
しかしかなり暑いので、悟飯がバテ気味だった。
『そろそろ・・・休憩するか?』
悟飯はぐったりしながら、小さくうなずく。
ピッコロはクーラーボックスからミネラルウォーターを出し、
それをあおって、悟飯に口移しで与える。
悟飯は喉を鳴らしてそれを飲む。
『・・・・はぁっ・・・・』
肩で息をしつつ、体を起こす。
『昨日、しなかった分・・・激しかったですね・・・』
フラフラな悟飯だった。
ピッコロはミネラルウォーターのビンを悟飯に渡すと、自分の分もクーラーボックスから出す。
『昨日からかなり溜めていたからな・・・、しかもまだ俺は全然足りないんだが。』
悟飯を見て、ニヤリと笑う。
『・・・そんな・・・あんなにやったのに?』
悟飯はちょっと困りながらも、にやけてしまう。
『ボク、お腹空いちゃった。』
悟飯が話をそらす。
『そうだな、もう昼だ。せっかく作った弁当をダメにするのは勿体無いからな。』
『その前に海で汗、流さないと。ピッコロさんがせっかく水着を出してくれたことだしvv』
飲んでいた水が変なところに入ってしまうピッコロ。
『っ!!ゲホゲホ!!!』
悟飯はいそいそとその水着を着けると、ピッコロの手をつかむ。
『ピッコロさんもvv』
『ああ・・・』
ピッコロも水着を着て、仲良く手をつないで波打ち際に歩いてゆく。
二人以外誰もいない砂浜ではしゃぐ声が聞こえてくる。

二人の甘い夏休みは始まったばかりだ。


END


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