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ここはゴハン王国。
現国王は悟空王。その悟空王が自分の息子可愛さに、ゴハン王国と名づけてしまった。
しかし実際この国を支えているのは他ならぬ悟飯王子だった。
悟空国王は民衆には人気があるが、政治力は全くなかった。
しかもかなりの放浪癖があり、城に大人しくいるような性分ではなかった。
妃のチチは『飢え死にされちゃ、困るべ!!』といって、いつもついて行った。
なので仕方なく、賢い息子の悟飯王子が数人のお付きと共に城を守り、政治を行っていた。
今日も平和なゴハン王国。
相変わらず悟飯王子は朝から執務に追われていた。
色々な書類に目を通して、色んな隣国からの訪問者と会い、
会議に参加して・・・本当に忙しかった。
でも王子は文句のひとつも言わずに、せっせと働いていた。
ようやく一段落ついた時に、執事のピッコロが部屋に入ってきた。
『王子、どうぞお休みください。』
無愛想な声だったが、とても悟飯を気遣っていることが伝わってくる。
このピッコロと王子の仲は公認だった。
たまに二人していなくなると、『またしちゃってるのね。』と、暗黙の了解だった。
『そうですね・・・少し休みましょう。』
王子はニッコリと笑って、椅子に深深と腰掛けた。
その時、ドアをノックして天津飯(お付き)が入ってきた。
『王子、今日は珍しいものが手に入りましたよ。』
押してきたワゴンの上には、一風変わった色の液体が入ったビンがあった。
『なんですか?ワイン・・・かな・・・、とても色が綺麗ですね。』
『はい、町に買い付けにいったら、薦められたんです。なんでも隣国の輸入品みたいで・・・』
天津飯は小ぶりのワイングラスに半分くらいそれをついで、王子に差し出した。
『・・・毒見は済んでいるのだろうな・・・?』
ピッコロはちょっといぶかしげに質問した。
『ああ、さっきヤムチャがしたから大丈夫だと・・・』
『それならいいのだが・・・』
ピッコロは王子のこととなると、用心深くなった。
『では、頂きます。』
王子は丁度のどか渇いていたということもあって、グラスを手に取ると、一気に飲み干した。
『・・・ちょっと・・・キツイです・・・お酒・・・かな?』
一瞬口の中が、カッと熱くなったような気がしたが、小さなグラスに少量だったので、それもすぐになくなってしまった。
『酒?天津飯!!王子はまだ未成年だぞ?!』
ピッコロは天津飯をにらみつけた。
『はいはい・・・すまんかった。・・・でも少しだから大丈夫だよ。』
天津飯は心の中で「その未成年に手を出しているのは誰だよ」と突っ込みを入れていた。
『じゃあ、そろそろ次の書類を・・・、ピッコロさん。』
悟飯は天津飯に助け舟をだしつつ、執務に戻った。
それからお昼をとった時も、その後の会議も普通にこなしていた悟飯だったが、
次の予定の場に向かう途中の廊下で、悟飯は体の変化に気づいた。
(・・・おかしい・・・体が・・・思うように・・・)
ピッコロが様子に気づいて、王子に駆け寄る。
『王子!!どうされました?!』
くずれかかる悟飯の体を受け止める。
『・・・ごめんなさい・・・っ・・・ちょっと・・・めまいが・・・』
その時、天津飯が慌てて走ってきた。
『王子!!・・・あっ・・・やはり・・・』
天津飯は王子の状態を予期していたようだった。
『なんだ?なにがあったんだ?』
ピッコロは天津飯を怒鳴りつける。
『実は、今になってなんだが、ヤムチャの様子がおかしくって・・・
それでの亀仙人先生に見てもらったんだ・・・、そしたら・・・』
『そこからはわしが説明しよう。』
後ろからやっとで追いつけた、昔からの主治医だった亀仙人が、息を切らしながらやってきた。
『王子が先ほど口にしたものは、強力な催淫剤だったんじゃ!!』
『さっ・・・催淫!!?』
ピッコロと悟飯は思わず声を上げた。
『つまり・・・王子はもう少しして、クスリが完全に効き始めると、誰彼かまわず求めてしまうようになってしまうんじゃよ・・・』
亀仙人は続けた。
『このクスリは通常数滴で使用するものみたいじゃが、王子はその何倍ものクスリを飲んでしまった・・・
だから、その症状は1日・・・もしくは2日は持続すると・・・』
悟飯はその言葉を聞いて、愕然とした。
『・・・誰彼かまわずって・・・、それは自分の意志ではどうにもならないってことですか?』
『恐らくは・・・』
亀仙人は気の毒そうに答えた。
『・・・や・・やです!!』
悟飯はピッコロの服をぎゅっと握り締めて、その胸に顔をうずめた。
『ピッコロさん以外となんて・・・絶対・・・やだ!!・・・』
ピッコロにだけ聞こえるような小さな声で悟飯はつぶやいた。
体を他の誰にも触れられたくなかった・・・
ピッコロはそんな王子を励ますように強く抱きしめると、耳元で囁いた。
『俺が絶対にお前を守る!!・・・』
ピッコロは今にも泣きそうな王子を抱き上げた。
『・・・天津飯!!これから王子はこの俺だけで看る。王子不在の間、色々と頼んだぞ。』
そういい捨てると、王子を寝室へ連れて行ってしまった。
『色々って・・・(汗)』
天津飯と亀仙人は止める余地もなかった。
王子のこととなると目の色が変わるのはいつものことなので、仕方がないのです。(苦笑)
寝室に入ると、ピッコロは優しく王子をベッドの上に降ろした。
『・・・あ・・・ピッコロさん・・・ボクのことは放っておいて・・・この部屋に一人にして、外からカギをかけてください。』
悟飯はクスリが効き始めているのを感じていた。しかしピッコロに迷惑をかけまいと、気遣っていた。
その様子を見てピッコロは何を思い立ったのか、
『ちょっと待ってろ。』
そう言うと、ピッコロは部屋から出て行った。
そしてしばらくすると、あのクスリがなみなみ入った、グラスを手に戻ってきた。
『お前だけが苦しい思いをすることはない・・・』
そう言うとグラスを一気に飲み干した。
『!!!・・・ピッコロさん!!!?』
悟飯はこの時、ピッコロが水以外を口にしているのをはじめて見た。
ピッコロの喉仏がゴクリと動いて、すべてを飲み終えたことを示していた。
案の定、ピッコロは顔をゆがませてその場に崩れた。
『ピッコロさん!!』
悟飯はふらふらする体を必死に引きずって、ピッコロのそばまで駆けよる。
『・・・!!無茶するから・・・!!大丈夫ですか!?』
そんな悟飯にピッコロは優しく微笑む。
『大丈夫だ。お前のためならば、こんなことは造作でもない・・・。』
そんなピッコロを見て、悟飯はたまらなくなって、思わず口付けてしまう。
『ピッコロさん!!いつもボクのために・・・』
潤んだ目で見つめながらピッコロの頬をなでる。
ピッコロはその瞳を見つめ返しながら答える。
『同じことを何度も言わせるな・・・』
そしてニヤリと口角を上げてこう続ける。
『クスリの効果がなくても・・・俺は病的にお前のことがほしい・・・』
クスリのせいで悟飯の目にはもう、ただ動く唇でさえもいやらしく写った。
その唇がますますドキドキさせる言葉を並べる。
『ピッコロさん・・・ボク・・・もう・・・。』
ピッコロに抱きついて顔を伏せてしまう悟飯。
『・・・そうか・・・』
ピッコロは悟飯を抱き上げると、再びベッドの上に降ろす。
悟飯は震えていた。その様子はまるで初めての時のようだった。
ピッコロはそんな悟飯が愛しくて仕方がなかった。
そして丁寧に悟飯の複雑な服を脱がしてゆく。
悟飯はその間も息が切れ切れで、ピッコロが色々な個所に触れるたびに感じている様子だった。
ピッコロの手が下着に及ぶと。悟飯は体をこわばらせた。
『・・・・あ・・・』
妙な熱っぽい目でピッコロを見つめる。
『どうした?』
『本当にごめんなさい・・・ボク・・・もう自分が抑え切れなくて・・・』
悟飯の下着はすでにしっとりと濡れていた。悟飯は恥ずかしさでいっぱいになって、手で顔を覆ってしまった。
その手をピッコロはやさしく引き離す。
『・・・謝ることはない・・・、お前のその反応は俺を受け入れてくれようとしている証拠だ・・・』
ピッコロの言葉はいつも悟飯を酔わせる。その言葉だけで胸の高鳴りが押さえられない。
愛しい気持ちがこみ上げる。悟飯はピッコロに向かって両手を差し伸べて、自分の思いを解き放つ。
『ピッコロさん・・・きて・・・』
ピッコロはその潤んだ瞳に吸い込まれそうだった。
ピッコロは自分の服を脱ぎ捨てると、悟飯に優しく深く口づけた。
『・・・ん・・・』
口付けたまま、ピッコロの手は悟飯の入り口を愛撫する。
かなり濡れていた。本当にピッコロを受け入れたくてしょうがないといった具合だった。
行動の足かせが外れてしまう感覚がピッコロを襲う。
『悟飯・・・愛してる!・・・』
いきなり奥まで入り込む。
『・・あっ!!!っ・・・くぅ・・・ん・・・っ・・・』
感じやすくなっていた悟飯はそれだけでイってしまった。
しかしピッコロは悟飯を許さなかった。開かれて無防備になったそこを容赦なく攻めた。
『あっ!!・・やんっ・・・っあ・・・ああぅ!!』
体をのけぞらせ、目をぎゅっとつぶって、ピッコロに抱きつく。
快楽に流されまいと必死だが、クスリのせいか、体を思うように動かせない。
一番感じてしまうところをピッコロに攻められてしまう。
『ああ!!・・っ!・・ピッコ・・ロッ・・・さぁ・・・んっ!!』
悟飯の胸はキュンキュンいって、どんどんと快楽の渦にのまれる。
あまりの良さに涙がこぼれる。ピッコロのことが愛しくて切なくて仕方がなかった。
ただただピッコロの名前を呼んで、自分が感じるままに体を預けて、高潮を何回も迎える。
しばらくすると、ピッコロの方にもクスリの効果が現れてきた。
こんなにも攻めているのに、全然足りなかった。
もっと悟飯の中に入り込んで、かき混ぜて、溶け合って、自分の液体で満たしてやりたい・・・
いつもはここぞ、という時に悟飯の体を気遣うあまり、歯を食いしばって我慢してきたことを今日は実行できた。
たとえ悟飯が高みに達しても、容赦ない攻めて、もう一段階上の快楽を求めた。
そのたびに、悟飯の体は火のように熱くなり、切ない声にならない甘い声を上げた。
悟飯の顔が上気しながら力なく果てる様を眺めるたびに、その征服感で体が身震いするほどだった。
もうこれ以上とないくらいに悟飯を愛した。
時間がどれほど流れたのか・・・カーテンの間から月の青い光が漏れているので、今が夜だということはわかった。
悟飯はピッコロの胸の上で目覚めた。
心地いい心臓音が耳の奥でこだましていた。
ピッコロも疲れたのか、眠っている。
思い返してみれば、ピッコロの寝顔を見たことはなかった。
悟飯はしばらく、その寝顔に見入っていた。
キスをしたいという衝動に駆られて、唇を近づけた・・・
唇が触れるか触れないかの時、悟飯の首の後ろをピッコロの腕がよぎった。
そしてそのまま引き寄せられて柔らかな唇が触れた。
『・・・・・・・ん・・・・』
初めは唇をすり合わせるようなキス、その後、ピッコロの舌が悟飯の舌を絡め取り、貪るような濃厚な口付け・・・
悟飯はそれだけで、胸がキュンとしてしまう。
やっと唇を開放されても、しばらく ポー としてしまうほど甘い口付けだった。
どうやらお互いのクスリの効果はなくなったようだった。
恐らく、あまりの激しさのために、クスリの持続が追いつかなかったのだろう。
『・・・体は大丈夫か?悟飯。』
ピッコロは悟飯を胸の上の乗せたまま話し掛ける。
『・・・・・・あっ、はいっ・・・大丈夫です。』
そう答えると、悟飯はクスッと、思い出したように笑った。
『どうした?』
ピッコロが不思議そうにした。
悟飯はピッコロの胸に頬杖をしながら答えた。
『ピッコロさん・・・ボクね、ピッコロさんがボクと二人っきりの時に、
ボクのことを「王子」ではなく、「悟飯」って名前で呼んでくれるの、すごく嬉しいんです・・・』
頬を赤らめながら微笑んで、照れてうつむく。
『そっ・・・そうか・・・』
その可愛さは、ピッコロの平常心を奪ってしまう。
『・・・ならば何回も呼んでやる・・・』
ピッコロは再び悟飯の首に腕を回した。
『えっと・・・また・・・するんですか?(汗)』
悟飯が少し慌てる。
『今がいつなのかわからないし、もう1日経ってしまったかも知れないし・・・あまり執務を滞らせることは・・・』
そんな悟飯をぐいと引っ張って、唇を塞ぐピッコロ。
そしてそのままベットにねじ伏せる。
『クスリの効果のせいにして、しばらく休んでしまえばいい・・・』
ニヤリと笑うピッコロ。
悟飯はちょっと困った顔をしたが、抵抗する気は更々なかった。
月明かりの中で、影が再び重なり合った。
王子の不在はまだしばらく続くようだ。
END
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