うさちゃんさまより

バースディ・バトル

作・うさちゃん

(注・ピッコロさんの体質設定はモチロンうさの勝手妄想です)


「悟飯・・・なぜこんな事になったのか
俺に分るように説明してくれないか(-_-;)?」

魔人ブゥとの闘いの後、しばらくは静かに
瞑想や修行をして暮らせると思っていたのに、
自らの誕生日に半ば無理矢理にカプセルコーポまで連れてこられたピッコロ。

その広い庭には主なメンバーが集められ、
真ん中の木には悟飯とビーデル作の『ピッコロさんお誕生日おめでとう!』の
大きな垂れ幕がかけられている。

そこまではまだいい。

しかしピッコロが呆然としているのは、
巨大なガーデンテーブルに並べられた大量の
バースディケーキを見て・・・である。

「いや、それがですね(;^_^A ・・・」

悟飯が苦笑してピッコロに説明するのはこういう事だった。

数日前、ブルマやチチ、18号といった女性陣達が
平和にお茶会をしていた時、気の強いブルマとチチが
『誰が一番料理上手か』という話題で
口論になったというのである。

そこでたまたま近日に迫っていたピッコロの誕生日にかこつけて、
皆してバースディケーキの作成勝負をしようという事になったらしい。

その結果、料理に興味のない18号や金髪ランチ、
その他何人かの男性まで巻き込んで『大ケーキ作り大会』が行われ、
その審査を不運にも誕生日であるピッコロ本人にして貰おうというのだった。

「さぁピッコロさ!誰のが一番美味いか決めてけろ!
毎日料理にあけくれてるオラが他の主婦達になんて負けるわけがねぇ!
おっと・・・今更、水しか飲めねぇなんて言い訳はナシだぞ凸(-_-#)?」

相変わらず訳のわからない迫力のあるチチの言葉にピッコロはたじろいだ。

まさに『水しか飲めない』と言って断りたい所だが、
数年一緒に暮らしていた事もあり、
一応他の食べ物も口にする事はできるとバレてしまっている今、
ピッコロはここから逃げ出す術を失った。

「あら!私だって毎日、ベジータやトランクスに
大量の料理を作ってるんですからね(-_-メ)!」

本当は料理はいつもお手伝いロボットにまかせっきりのブルマは
そう言ってチチに虚勢を張る。

という事で、ピッコロは早くこの奇妙なお祭り騒ぎから抜け出したくて、
嫌な事はさっさと終わらせてしまおうと、
仕方なくケーキの並べられたテーブルについた。

まずはチチのケーキである。

オーソドックスなイチゴのデコレーションケーキだが・・・
その直径は1メートルと実に巨大である。
サイヤ人の男達を養っていると全てがデカ盛りになるという事に
チチ本人は気づいていないらしい。
そしてピッコロがおもむろにフォークを突き刺すと、
クリームの中からパオズ山に住むムカデの甘煮が登場した。

勇気を出して一口食べたピッコロの感想は『意外にイケる』だったが、
『意外』という言葉にチチは憤慨してビーデルにたしなめられていた。

その次に出てきたのはブルマのケーキだ。

チョコレートが基本の大人のケーキのようだが・・・
なぜか異様に硬い。
更に真っ黒だった。
ピッコロがフォークを刺そうとするが、まるでカッチン鋼のようである。

「何よピッコロ!最強のナメック星人でしょ!?
ちょっと硬いぐらいは根性出して食べなさいよ!」

仕方なくそのままかじったピッコロは、
口の中に広がる金属のような味を確かめた後、
ベジータとトランクスに激しく同情した。
当然コメントは差し控えた。

次に登場したのは18号の代わりにクリリンが作ったマロンケーキである。
18号に尽くして日頃料理をやり慣れているせいか、
はたまたこのメンバーの中では一番常識的な思考だからか、
チチやブルマの作ったものと比べると一番ピッコロの口に合った。

その他、金髪ランチ作の花火の代わりに爆薬が飾られているケーキだとか、
餃子作の天津入り中華風ケーキだとかを食したピッコロだったが、
強靭な肉体のおかげでなんとか食あたりを起こさずに乗り切った。

「さぁピッコロさ!!誰のが一番美味しかったか言ってけろ!!」

「答えによっちゃ承知しないわよ!?」

チチとブルマがピッコロににじり寄る。
ピッコロが冷や汗を流して考え込むと、ふとビーデルが
まだ食べられていないケーキがある事に気がついた。

「ねぇピッコロさん、これまだ召し上がってないでしょう?」

ビーデルの言葉にこれ以上何も食うものかと
視線をきつくしたピッコロだったが、
ビーデルの持っているケーキを見て驚いた。

今まで見たケーキの中で一番まとも・・・
というよりは正直、美味しそうなのである。

柔らかそうなスポンジに几帳面にムラなく塗られた生クリーム。
その上には見事なカッティングで新鮮な果物がのせられている。

その場にいる誰もがそのケーキの美しさに驚いた。

今までの恐怖を払拭できそうなそのケーキに、
ピッコロは初めてすすんでフォークを刺す。
ふわふわのスポンジと生クリームが丸く切られたメロンと共に
ピッコロの口の中で甘くとける。

「・・・美味い!!」

他のケーキが地獄だった事から、ピッコロは珍しく褒め言葉を叫んだ。

その後チチやブルマなど他の人間も試食して、
ピッコロの味覚に共感する。

「ひぇ〜〜〜!!コレはまいったべ!!まるでプロみたいだなや!?」

「本当に美味しいわ!!ところで・・・コレ、誰が作ったのかしら?」

ブルマの素朴な疑問に、一同はもう一度よくケーキを見た。

すると先ほどは皆見逃していたが、
皿の端のほうに小さなメモが貼ってある。

そこには丁寧にもケーキのタイトルが記されていた。

『季節のフルーツデコレーションケーキ、ファイナル・フレッシュ♪』

「Σ(-o-;)!!!!!!!」

どこかで見たそのネーミングセンスに皆の思考が停止する。

するとメモを見て硬直している一堂のところに、
今まで厨房にいたらしいエプロン姿のベジータが

『HAPPY BIRTHDAY PICCOLO』

と書かれたチョコレートの板を手にして
おおまじめな顔でやって来て言った。

「おっと、いけねぇ。ネームプレートも忘れんじゃねぇぜ?」




おしまい

はい、あのベジータ様の名曲パロディ入りです(;^_^A
お好み焼きのマヨネーズまでに気を使う彼ですので
カカロットに次ぐ戦友の誕生日には
多分これぐらいのコトはやってのけるであろうと(笑)
08.4.10 byうさちゃん

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